「式神」iPAQ版バイナリ・キットのインストレーション・ガイド


1. はじめに

「式神」iPAQ版のインストールは、次の条件を前提にしています。
条件
  1. 動作機種として「COMPAQ iPAQ H3600シリーズ」を対象としています。
    以下、「COMPAQ iPAQ H3600シリーズ」をiPAQと表記します。

  2. iPAQで、CFメモリ・カードが使用可能な事。
    (CFメモリ・カードの容量については、後述の「動作環境」を参照)

注意
  1. iPAQへのbootldr、Linux、式神のインストールは、 ユーザの責任で行なってください。何が起こっても、 株式会社アックスは一切の責任を負いません。

  2. bootldrのインストールについての詳細は、 http://www.handhelds.org/ をご参照ください。

  3. インストール用のCFメモリ・カードの作成時に初期化を行います。 インストールの作業の前に、CFメモリ・カード上の大切なデータのバックアップを必ず行ってください。

本インストレーション・ガイドでは、bootldr をインストールし、 「式神」iPAQ版を起動するまでの手順を説明します。


2. 動作環境

「式神」iPAQ版バイナリ・キットを使用するには、次のものが必要です。


3. シリアル・コンソールの接続手順

iPAQのbootldr、Linuxでは、シリアル・インタフェースをコンソールとし て使います。そのため、Linuxからは端末エミュレータ・ソフトminicomを 使って、iPAQ を操作します。ここでは、minicomの設定の仕方について説 明します。minicomの使い方の詳細についてはminicomのマニュアルを 参照して下さい。

minicom以外の端末ソフトも利用できますが、プログラムのダウンロード にxmodemプロトコルが利用できる必要があります。

  1. iPAQ用のシリアル・ケーブルまたはシリアル・クレードルを使って PCとiPAQを接続します。
  2. PCのLinuxでminicomを起動します。
  3. minicomを以下の設定にします。
  4. 115200ボー 8ビット、パリティなし、1ストップビット、フローコントロール なし

    そのためには、以下のようにします。作業は rootアカウントで行います。

    1. まず、minicomを設定モードで起動します。
    2. minicom -s -o
      
    3. すると以下のようなメニューが表示されるので、 「Serial port setup」を選択します。選択は、カーソルキーで動かし、エンター・ キーで決定します。
    4.             +-----[configuration]------+
                  | Filenames and paths      |
                  | File transfer protocols  |
                  | Serial port setup        |
                  | Modem and dialing        |
                  | Screen and keyboard      |
                  | Save setup as dfl        |
                  | Save setup as..          |
                  | Exit                     |
                  +--------------------------+
      
    5. 次に以下のようなメニューが表示されるので、 「Serial Device」を利用しているデバイスに、「Flow Control」をどちらもNoにしま す。Eの項目を「115200 8N1」に設定します。
    6.     +===========================================
          | A -    Serial Device      : /dev/modem
          | B - Lockfile Location     : /var/lock
          | C -   Callin Program      :
          | D -  Callout Program      :
          | E -    Bps/Par/Bits       : 38400 8N1
          | F - Hardware Flow Control : Yes
          | G - Software Flow Control : No
          |
          |    Change which setting?
          +===========================================
      

      変更したらエンター・キーを押して最初のメニューに戻ります。

    7. 必要なら「Save setup as dfl」または、「Save setup as..」を選択し て設定を保存します。
    8. 「Exit」を選択したら、端末エミュレータ画面になります。次からは、 次のコマンドで起動します。
    9. minicom -o
      

4. インストール用CFメモリ・カードの作成手順

4.1. はじめに

インストール用CFメモリ・カードの作成は、PC上のLinuxを用いて行います。 CFメモリ・カードへの読み書きを行えるようにLinuxの設定を別途行っておいて下さい。 作業は rootアカウントで行います。

次の手順では、 CFカードのデバイスは /dev/hdc に見えているものとしています。 CFカードのデバイスが何に対応しているかは、 カード挿入後に dmesg のメッセージを見ることで確認できます。 実際の作業では、確認の上、自分の環境にあったデバイスを指定して下さい。

4.2. パーティションの作成

fdisk を用いて、パーティションの切り直しを行います。

基本領域1に EXT2 で全てのサイズを割り当てます。

128MbyteのCFメモリ・カードでの作業例を以下に示します。

 # fdisk /dev/hdc
 
 コマンド (m でヘルプ): p
 
 ディスク /dev/hdc: ヘッド 8, セクタ 32, シリンダ 978
 ユニット = シリンダ数 of 256 * 512 バイト
 
  デバイス ブート   始点      終点  ブロック   ID  システム
 /dev/hdc1             1        25      3184    1  FAT12
 /dev/hdc2            26       978    121984   83  Linux

   (このように、既に存在するパーティションが表示されます。
    次の手順で、すでに存在するパーティションを削除します)
 
 コマンド (m でヘルプ): d
 領域番号 (1-4): 1
 
 コマンド (m でヘルプ): d
 領域番号 (1-4): 2
 
 コマンド (m でヘルプ): n
 コマンドアクション
    e   拡張
    p   基本領域 (1-4)
 p
 領域番号 (1-4): 1
 最初 シリンダ (1-978, 初期値 1): 
 初期値 1 を使います

 終点 シリンダ または +サイズ または +サイズM または +サイズK (1-978, 初期値 978): 
 初期値 978 を使います

 コマンド (m でヘルプ): p
 
 ディスク /dev/hdc: ヘッド 8, セクタ 32, シリンダ 978
 ユニット = シリンダ数 of 256 * 512 バイト
 
  デバイス ブート   始点      終点  ブロック   ID  システム
 /dev/hdc1             1       978    125168   83  Linux
 
 コマンド (m でヘルプ): w
 領域テーブルは交換されました!
 
 ioctl() を呼び出して領域テーブルを再読込みします。
 
 警告: DOS 6.x 領域を作成、または変更してしまった場合は、
 fdisk マニュアルページにある追加情報を参照してください。
 ディスクを同期させます。

4.3. mkfs

パーティションに対して mkfs を実行します。手順は次の通りです。

 # mkfs -t ext2 -m 0 /dev/hdc1
 mke2fs 1.18, 11-Nov-1999 for EXT2 FS 0.5b, 95/08/09
 Filesystem label=
 OS type: Linux
 Block size=1024 (log=0)
 Fragment size=1024 (log=0)
 47104 inodes, 187888 blocks
 0 blocks (0.00%) reserved for the super user
 First data block=1
 23 block groups
 8192 blocks per group, 8192 fragments per group
 2048 inodes per group
 Superblock backups stored on blocks: 
         8193, 24577, 40961, 57345, 73729
 Writing inode tables: done                            
 Writing superblocks and filesystem accounting information: done

4.4. マウント・ポイントの作成

CFメモリ・カード上のファイル・システムをマウントするための ディレクトリ作成します。次のようにして作成して下さい。

 # mkdir /mnt/cf

4.5 バイナリキットに含まれるファイルのコピー

式神バイナリキットに含まれるファイルを、CFメモリ・カードEXT2のパーティションにコピーします。 次の手順でコピーしてください。

 # mount -t ext2 /dev/hdc1 /mnt/cf
 # cp sikigami-ipaq-cf3.tgz /mnt/cf/
 # cp sikigami-ipaq-sg11.tgz /mnt/cf/
 # cp sikigami-ipaq-ex11 /mnt/cf/
 # sync; umount /mnt/cf

各ファイルについて


5. インストール手順

5.1. はじめに

「式神」のインストールは以下の手順で進めます。このうち Bootldr のインストールに関しては 必ずftp://ftp.handhelds.org を参照して進めてください。

  1. Bootldr インストール
  2. 「式神」ルートイメージインストール
  3. 「式神」バイナリファイルインストール
  4. 日付の設定

5.2. ブートローダインストール

!!!ここでの作業は貴方の iPAQ を二度と起動しないただのモックアップにしてしまう 可能性があります。 全て自己責任において行ってください。株式会社アックスは何が起ころうと一切関知 しません。!!!

5.3. 「式神」ルートイメージ インストール

書きこみ準備として bootldr のプロンプトが出ている状態で以下のコマンドを実行します。

boot> pflash 0x40000 0xffff 0                                                  
  addr=00040000                                                                
  len=0000FFFF                                                                 
  protect=00000000                                                             
Protect=00000000                                                               

次に「式神」ルートイメージを書きこみます。

boot> load root                                                                
loading flash region root                                                      
using xmodem                                                              
ready for xmodem download..                                                    

このような表示になれば、minicom を用いて バイナリキットに含まれる以下のファイルを XMODEM プロトコルでアップロードします。minicom での操作は Ctrl-a, z, s になります。

その後、書きこみがはじまります。この作業には30分程度の時間を要します。

addr: 00930000 data: FFFFFFFF
verifying ... 
formatting ... done.

このような表示が現れれば「式神」ルートイメージ書き込み成功です。 数字がiPAQ をリセットして次に進みます。

5.4. 「式神」バイナリインストール

root 権限で /cf に CF メモリをマウントし、インストールスクリプトを実行します。

#mount /dev/hda1 /cf
#cd /
#sh /cf/sikigami-ipaq-ex11

展開が終わると自動的にリブートし、「式神」が起動します。お疲れさまでした。

5.5. 日付・時刻の設定


6. リブートの手順

ktermを起動し、rebootコマンドを入力します。 リブート後は、ブートローダに制御が移ります。

 $ su
 Password: rootme (表示されません)
 # sync ; reboot